メシフクロウの雑記

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マツコ・デラックスさんの「続 あまから人生相談」を読んだ話

マツコ・デラックスさんの「続 あまから人生相談」を読んだ。

 

本屋でこの本を見かけ、マツコさんはタレントだけでなく執筆活動をされている方だったよなぁと思い出された。

月曜から夜ふかし」や「マツコ&有吉 かりそめ天国」などの番組のキレのあるコメント。「マツコ会議」「マツコの知らない世界」でのゲスト・一般人への絶妙ないじり。

そしてそれら番組のMC、いわば顔を務める実力は、そんじょそこらの芸能人の追随を許さない。

 

そういえばマツコさんの文章を読んだことがない気がする、と本の頭部分を立ち読みしたところ、語り口に一瞬で心囚われた。

 

 

「続 あまから人生相談」は、レディースコミック誌に連載された人生相談を、1冊の本にしたものだ。(「続」から読む理由は、本屋に「続」しかなかったのだ)

女読者の多種多様なお悩みに、マツコさんが回答していく。

 

読者といえども、人の人生とは面白いもので、

「夫とセックスレスなので風俗で解消したい」

「沖縄に移住したいが夫に反対されている」

「美容室のスタイリストに恋をした」

などなど、強烈なお悩みばかり。中には、

「子連れ男性と結婚したが、どうしても子供を愛せない」

といったハードなお悩みも。

書籍を手にとった方は目次だけでも見てもらいたい。お悩み一覧になっているので、気になったものから読んでいっても良いと思う。

 

投稿型の人生相談の良さとは、質問者と回答者の距離が適度に離れているところだと思う。

友達が自分にこんな相談してきたら、今のわたしなら親身になって話を聞くことくらいしか出来ないだろう。具体的なアドバイスをして深層に触れてしまうと、面倒くさいことになりそうだ。

質問を送って、本で回答。この形式ならば回答者がゴタゴタに巻き込まれることはない。しかも、「あなたも大変なのね…実はわたしも…」といった傷の舐め合いにはならず、「せっかく相談してくれたのだから、わたしが思うことをキッパリお伝えします!」という風に回答がくるのが良い。

 

質問文章だけで事態の100%なんてわからないし、回答した結果、質問者の人生がどう変化したかも知る由もない。

それでも、誰もズバリと言わない事柄をあけすけなく伝えてくれるのは、きっと本人にとってありがたいし、一読者としても非常に面白いものである。

 

 

さて、わたしが心囚われた本の冒頭の話に戻る。

 

「夫とセックスレスなので風俗で解消したい」

これが本書第1の相談だ。このお悩みにマツコさん

 

「アナタが風俗で働くのは、自分の欲望から。

 そのリスクも背負えるなら、勝手にどうぞ。」

 

とズバリ。痺れた。

 

回答詳細でも質問者を優しくケアするのではなく、「貴方は今こんな無責任なことをしようとしているのよ」「風俗の世界でも身を粉にして働いている方もいて、貴方が思う程甘い世界ではないのよ」と、現実をビシバシ。

質問者の夫や、風俗で働く方々への配慮も伺え、見事な回答っぷりであった。

 

この人生相談、立ち読みで終えるのは勿体無いと思い、思わず即購入。

質問は55あるのだが、帰宅早々あっという間に読み終えてしまった。

 

 

マツコさんが述べる言葉は率直だが、とても思いやりに溢れ、読んでいるこちらも、自分の身を振り返るきっかけをくれる。

読後、マツコさんはこういうことを言いたいのかなと考えたりした。

 

・年相応の知性をつけなさい

・他者も自分も思いやりなさい

・責任をもって行動しなさい

 

人は何歳になっても悩み、迷うものである。

その時に分別を持って、行動せよ、そして人らしく生きよと。

こう書くとまるで仏の教えのようだが、マツコさんのオネエ口調で堅苦しい印象は受けない。

 

自分もこの歳にしてクヨクヨして足を止めてばかり。

人生が辛くてどうしようもなくなった時は、本書のマツコさんのエールを思い出そうと思う。

本書帯より。

 

何もする気になれず年齢を重ね、自分を帰ることを恐れる33歳のフリーターへ

 

「生きるっていうのは、物を考えて、労働して、日々それを繰り返すこと。

 半歩でも進むことが大事なんです」