メシフクロウの雑記

メシフクロウの雑記です。文字で語りたい。

【ネタバレ有り】みをつくし料理帖が大好きで、心励まされるという話

みをつくし料理帖、最終巻「天の梯」を読んだ。

澪がお侍(徒組)たちに弁当を供す場面が急に読みたくなったのだ。
握り飯3つ、青菜の切漬け、鮪の柵を塩煎餅を衣をつけて揚げた物を、16文の弁当とする澪。
素朴ながらもその心配りも味わいに胸を打たれるお侍たち。

「張出大関ー親父泣かせ」のサブストーリーとして語られ、
物語の重要の一片を担う物語を読み始めたのを皮切りに、
結局、天の梯をまるまる読了してしまった。


みをつくし料理帖は、不遇な身の上にあった料理人・澪が、
艱難辛苦に耐え、自らの才覚と努力で人生を切り開いていく物語だ。
澪が逡巡し、困り果て、それでも感謝の気持ちと信念を忘れずに前を向いていく姿は、
人生に惑う自分を励ましてくれる。

最終巻では、今まで積み重ねてきた布石を見事に回収し、
あさひ太夫こと、澪の幼馴染・野江の身請け、そして
澪が選んだ結末までしっかり語られている。


天の梯は初版が2014年、もう4年も前の本である。
1度購入して本棚にしまっておいたはずなのだが、
引越しや掃除のどさくさに紛れて紛失してしまった。

もう1度澪やつる家の仲間たちに会いたくなり、
1巻から徐々に読み進めていた際に紛失に気づき、
慌てて買い直す程、シリーズ通して大好きな物語である。


気分がふさぎ込むと、何故か澪が作る料理に会いたくなる。
それは澪が「食は、人の天なり」を心星とし、
食べる人の心や体をおもんばかって直向きに料理をしているからではないか。

読者故に料理を口にすることは出来ないが、
ほかほかと湯気をたてる椀物や、
じゅうじゅうと音をたてる鍋物
知恵を凝らしてこしらえた一品のさくさく感などが、
脳を美味しく満たしてくれるのだ。
現実の腹は膨れないが、想像の腹が膨れて満足し、
「よし、また明日も頑張ろう」という気持ちにさせてくれる。

今日も昨日の疲れがイマイチ取れず、ドンヨリとしていたが
本を読み始めると曇り空は次第に晴れ、
天の梯の大団円、野江の身請けシーンでは
登場人物の一挙手一投足にボロボロと涙してしまった。

読了後には枕元にこんもりとティッシュの山。
よくこれだけ泣けたものだと感動しつつ、
日常に戻っていくわたしなのである。


「雲外蒼天」の相を持つ澪。
人生に艱難辛苦があろうとも、
辛抱して精進を重ねれば、
誰よりも美しい青空を拝むことが出来るという意味だ。

この四文字熟語を、これ程体現する主人公が他にいるだろうか
と思う程、読むのが辛い時もある。

また、作者・高田郁さんには、
「ええっ!このキャラが!?」
「ここでこうなっちゃうの!?」
と、読者は翻弄されっぱなしになるが、

必ず最後には美しい空が見えると信じて、
ぜひ、みをつくし料理帖を手に取ってみてほしい。

必ずあなたの心に光をくれると、わたしは信じている。


ちなみに今年2018年には、
読者待望のみをつくし料理帖、特別巻が出るという話です。
高田先生、首を長くしてお待ちしています!!


では。じゃーね!